2000年01月11日

番外編 不適合妊娠のデータ

*サイトに置いていたデータをコピーしたものです*

ここではもう少し詳しい血液型不適合妊娠についてのデータを紹介したいと思います(参考図書 産婦人科MOOK No4 交換輸血の実際 金原出版 S53.12.10第1刷発行)

尚、金原出版編集部にはサイトへの記載が著作権に反しないことを確認、こちらで公開することに対し了承を頂いております。

*ご注意ください*

この本は私が探した数少ない不適合に関しての専門書です。発行年月日を見てお分かりのように、大変古いデータになります。20年以上前の物なので現在は医学の進歩によりここに出たパーセンテージよりも少なくなっているはずです。不適合に関しての新しいデータがあれば良いのですが、素人の私に入手出来る手段は限られています。不適合に関する本など、ご存知の方は教えて頂けると助かります。

この本は各医師が書いた論文を集めたものなので、データの数字にはばらつきが生じています。ひとりの医師が関わる不適合出産の数も多くはないので、数字の偏りもあることと思います。そのことはご了承頂きたいと思います。

医学的データを基に、不適合を抱えてしまった人や可能性のある人が知りたいと思われることを中心にまとめてみたいと思います。私自身がそうであったように、もう子供は望めないのか?どんな病気なのか?どこの医療機関なら診てもらえるのか?治療法はあるのか?などが主なものです。分かりやすいよう言葉や表現を変えて載せますので、多少のニュアンスの違いがあるかもしれません。中には非常に厳しいことが書いてある部分もあります。くり返しになりますが、このデータはあくまで20年以上前の物です。数字だけではなく、不適合の仕組みや流れを掴むための参考と捉えて下さい。今現在妊娠している場合だけでなく妊娠希望の場合、それなりの医療機関の医師に相談してください。可能なら、大学病院もしくは同等の病院、周産期センターのある所が理想でしょう。


血液型の種類  

Rh-Hr式血液型

英国式 米国式

D Rho

C rh'

E rh"

c hr'

e Hro hr"

d

通常言われるRhマイナスはDのことです。D以外のものを亜因子と呼びます。抗原として抗体を作る力が極めて強いので不適合の中のほとんどがDによるものです。


変異型

Rh-Hr2式 Du、Cw、Cx、Ewでもある(本来小文字は右肩に表示)

Rh-Hr式以外

・Diego式 抗Dia、抗Dib(本来a、bは右肩に表示)

・Duffy式 抗Fya、抗Fyb(本来a、bは右肩に表示)

・kidd式 Jkb(本来bは右肩に表示)

・MNSs式 抗S、抗M、抗Jra(本来aは右肩に表示)

日本ではこの他にもKell-Cellana因子やLewis因子での不適合の報告があるそうです


発生頻度

D>E>C>c>eの順で多く発生しますが、Dの抗体を作る力は極めて大きいので不適合のほとんどはDによるものです。

亜因子+変異型の不適合での割合が欧米5~10%、日本20%くらいなので、D=8:亜因子=2の割合くらいだと思われます。これだけを見ると亜因子の割合は少なく感じられないと思いますが、このD8割の数字は感作した人の数です。Dにはグロブリンを打つという対応策があり、これを打って(もしくは打てなくて)の感作率が0.1~0.2%ということですから、やはり亜因子による不適合は圧倒的に少ないということになります。

不適合による胎児の症状

罹患度*1 頻度*2

貧血型 3 3

黄疸型 2 1

水腫型 1 2

*1 罹患度 病気にかかること

*2 頻度 同じことがくり返し起こる度数


貧血型、黄疸型の大半は生存可能

水腫型の場合は大部分が子宮内胎児死亡か生産でも瀕死の状態で短期間で死亡(この記述について 20年以上前のものなので、今は水腫があって治療成績も向上していると思われます)

・水腫型が重篤になる理由

胎児にとって抗原抗体による溶血が早期かつ高度だと、少ない赤血球をフル回転させる為心不全から浮腫を起こしてしまいます


抗体価による成績

不適合による流死産歴なしの死亡率 抗体価64倍以下 8%

不適合による流死産歴なしの死亡率 抗体価64倍以上 29%

不適合による流死産歴ありの死亡率 抗体価64倍以下 36%

不適合による流死産歴ありの死亡率 抗体価64倍以上 78%

*64倍がひとつの目安のようですが、16倍、32倍でも死産した例もあります

Rh不適合の子宮内胎児死亡率は15% 大半は33w~40wにおこります


この数字も20年前のものですので、今はこれよりは少ない数字になります。

不必要に数字にとらわれないで頂きたいと思います。


不適合の治療

・比較的軽度な場合(満期産)

生まれてから光線治療(程度により台数、期間が変わります)*光線治療で交換輸血をのがれた場合、後日重症な貧血がおこる頻度が高い。 光線治療でダメな場合は交換輸血を必要回数行う(交換輸血による死亡率3~4%)


・重度な場合(胎内治療)

 子宮内での生活が継続可能な場合(子宮外での生活不可な場合)  胎内輸血(必要回数くり返す)腹壁から胎児のお腹に針を刺して輸血  合併症、感染、出血、臓器が傷付く、羊水漏出、早産、血清肝炎が主な危険、敗血症によるショック、子宮破裂、胎盤早期剥離の報告例もあり


・重度かつ胎内生存が危ない場合

 子宮外での生活可の場合、 もしくは高度貧血の為の心不全、胎児水腫、子宮内胎児死亡の危険が大きい場合 帝王切開の上胎外で治療 胎児を早期娩出し、必要に応じた回数交換輸血する


交換輸血の普及で新生児溶血性疾患の周産期死亡率が3~4%に減った


上記の治療で効果がない場合

死をのがれても核黄疸になる(核黄疸の後遺症=脳性小児麻痺)

脳性小児麻痺

1.アテトーセ ほぼ100%現れる(筋緊張低下、痙攣症状、運動失調症)

2.凝視麻痺

3.乳歯の琺瑯質形成異常 80%に現れる

4.聴力障害 50%に現れる


感作される時期

12w以前でも母体血中に胎児血球が認められた例もあるが、大半は28w以降。

初回分娩時の抗体検出率0.4~1.5%

産後6ヶ月以内の抗体産生5.2%

次回妊娠時の抗体産生11.5%

このことから、初回分娩によって16.7%が感作される。正常妊娠よりは異常妊娠(早剥、中毒症、骨盤位など)の方が、感作の可能性が高い。


正常妊娠の場合、胎児の血球移行量が0.1ml以下で感作。(これよりかなり少なくてもなるらしい。0.1ml以下って、目に見えるか否かの極微量ですね。)胎児の血球移行は、胎盤 臍帯の胎児血が胎盤剥離の部分、産道の裂傷から母体に流出することで起こる。従って、傷の大きくなる帝王切開はその危険が高い。



何度も繰り返しになりますが、上記の数字は20年以上前のデータです。不適合に対する治療自体に変わりはありませんが、データの数字の値はもっと低くなっていると思われます。必要以上に恐れず、かと言って安心し過ぎず、不適合によって何が起こるのか、どういう治療法があるのかを知った上で然るべき病院で相談されることをお勧めします。妊娠していない状態での相談も病院はきちんと受けてくれますし、そうでないような病院は選ばない方が安心です。どこの病院が不適合に対応出来るかのデータはありませんが、大学病院か同等の病院で周産期センターのある病院が適切だと思います。尚、個人サイトのため病院情報まではご紹介出来ません。もし病院情報が得られたとしても、医師によって治療も違うでしょうし、患者との相性もあるでしょう。良い病院が知りたいのは私も同じですが、やはりご自分で実際に探し、信頼出来る先生に赤ちゃんをお願いするのが一番良いことだと思います。私個人の体験としては周産期センターのある病院でしか出産出来なかったしそれで良かったと思っていますが、それがすべての方に当てはまるものではないと思っています。
posted by おさかな at 00:00| Comment(0) | 血液型不適合妊娠 | 更新情報をチェックする
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