2000年01月02日

血液型不適合妊娠とは

*さかなのひとりごとに置いていたデータをコピーしたものです*

血液型不適合という言葉をご存知でしょうか?人間の体は異物を排除するように出来ています。この働きが裏目に出てしまったのが不適合です。

不適合妊娠のおこる仕組みを簡単に説明しましょう。血液型の違う血を輸血されて危篤に陥ったり、悲しい結果になってしまったというニュースをたまに聞きます。人間は自分と違う型の血を受け入れることが出来ません。(これは絶対ではありませんが)妊娠した場合、胎児の血液型は必ずしも母体と一致するとはいえません。それでも妊娠が継続出来るのは、母体と胎児には血の行き来がないからなのです。栄養や老廃物は胎盤を通して血管中で行うので、実際に血が行き交うことはありません。しかし、出産(流産や中絶も含む)時に母体に出来た傷などから胎児の血が母体に入ります。(何らかの原因で中期以降に感作されてしまう例もあり、そうなると産後72時間以内に打つ注射は効果ありません。あくまで「感作されてから72時間以内」なのです。その為には頻繁な血液検査で抗体値を調べなくてはいけません。)ほとんどの人はそれでも大丈夫なのですが、私を含む一部の人は胎児の血液に対する抗体を作ってしまうのです。抗体を作ると同じ異物(花粉や病原菌、胎児も)が再び侵入してきた時には激しい攻撃をします。(これは人間の体を守る免疫の働きで、これが行われないと大変なことになります。)この攻撃、花粉症で言うなら「花粉を流すためにくしゃみや鼻水を出す」ことになりますが、胎児に対する場合は胎児の赤血球を攻撃し、貧血や浮腫を起こします。(うちの子の場合 高ビリルビン血症、溶血性貧血)早期なら流産、中期以降には早産、満期産の場合も出生直後から激しい黄疸が出現します。治療としては、胎児輸血・光線治療・交換輸血などがあります。光線治療の発見のおかげで治療成績は良くなったそうですが、交換輸血への切り替え時期を誤ると核黄疸(脳がやられてしまいます)や死亡してしまう危険もあるようです。(正常妊娠と同じく、満期産の方が未熟児よりも治療成績や予後は良いです。ただ、未熟児で生まれるリスクより胎内での貧血&浮腫の方が危険だと帝王切開で出産になります。時期の判断によって予後の成績が変わるので、時期を見誤ることは許されません。)憶測ではありますが、医療の整っていなかった時代には不適合で亡くなった赤ちゃんは多かったことでしょう。

もうひとつ重要なことですが、不適合は妊娠回数(流産、中絶を含む)と共に症状が進みます。最初に胎児の血が母体に入った時に抗体が出来ることは先にお話しましたが、最初の子にはほとんど症状は出ません。これは抗体が出来て胎児を攻撃するまでに時間が少ないことにあります。猛攻撃する前に胎児は産道を通って生まれてしまうのです。しかし、次回以降の妊娠は妊娠時から抗体があるので、胎児への攻撃は妊娠初期から継続的に行われます。私の不適合(Rh-E)の場合、出産まではもつことが多いらしいのですが、それも保証はありません。

不適合になる可能性の高いケースは胎児の母親がRHマイナス、父親がプラスの場合です。(これについては血液型の組み合わせによって感作の率は変わりますが、難しくなるので省きます)ただ、通常言われるRhマイナスの人は血液検査で分かるので不適合にならないような対策がとられます。(産後72時間以内に打つ注射があります。この処置は流産や中絶の場合も必要になります。)

一般に言うRhマイナスは正確にはRhのDという型のことです。Rhには他にも型があり、不適合の危険は同じようにありますが通常の検査項目にはありません。これは頻度の問題と、余程大きな病院でない限り外注でないと検査出来ないことがあると思います。(当然お金もかかりますからね・・・(苦笑))亜種(Rh-D以外 CやE)の場合、異常が見つかってからしか分からず防止策もありません。私の場合はRh-Eの不適合で、主人がEプラス私はEマイナス(eと言います)でした。(正確には主人がccDEE、私はCCDeeです)

胎児の両親の血液型が違うことで不適合が起きるので、CDEそれぞれにその危険はあり複数の不適合(例えばCとD両方の不適合)を抱えたり、ABOの不適合というものも存在します。ただ、ABOの不適合はRhの不適合ほど重症ではないと言われています。

不適合で症状が出るのは胎児や赤ちゃんだけで、母体には何の影響もなく産後は通院や検診の必要はありません。妊娠以外で気をつけなくてはいけないのはただひとつ輸血のみです。万一緊急オペなどで輸血で抗体のある血を入れられた場合、アナキラフィシーショックで死亡する可能性があります。これを防ぐには、家族や知人に不適合を知ってもらい輸血時には気をつけなければいけないことをしっかり説明することです。そして、病院で血液型の証明書(当然普通のものではなく、抗体のあるものに対しての物)を出してもらい常に携帯しましょう。証明書についてですが、3人目を生んだ病院に相談した時には何も言わなくてもくれましたが、地元の総合病院では輸血への注意も証明書ももらえませんでした。あまりに珍しい(その病院・・・地元では結構大きい部類なんですが初めての症例だったそうです)病気で対応が分かっていなかったのだと思います。

妊娠における不適合についてお話してきましたが、あとひとつ原因が考えられます。妊娠以前に行われた輸血でも抗体が出来る恐れがあります。(配偶者からの輸血は一番危険です)この場合、輸血時に抗体が出来るので、初回妊娠時から胎児に症状が出ます。(今は緊急時以外自己血が主流、私は手術を予定していますが当然自己血です。)自己血が足りない場合は日赤の血液を使いますが、日赤の血でもなる人は不適合になります。どんな人が不適合になるのかは分かりません。輸血も妊娠も大多数の人は大丈夫、結局はそういう運命(?)としか言い様がないように思います。Rh-Dの場合、最初から不適合になることを前提で抗体を作らないようにする注射を打ちますがDの場合も必ずしもみんなが抗体を作るわけではないそうです。それでも全妊婦にRhマイナスの血液検査、マイナスの人に注射を打つのはそれだけ不適合が起こす胎児や赤ちゃんへの影響が恐ろしいということに他ならないと私は思っています。

*2005.3.26追記
2004年12月に某大学病院で全身麻酔下での手術をしました。良い機会なので輸血について執刀医に聞いてみました。予定手術など普通の場合は不規則抗体を調べるので不適合輸血されることはほとんどないそうです。但し、超緊急の場合はABOとRh-Dくらいしか調べられないこともあり、そういう場合は不適合輸血もあるかもしれないそうです。1分1秒を争う場合・・・でしょうね。

2012.3.17追記
最近では田舎の個人病院でも不規則抗体の検査が行われるようです。心配がある方は血液検査の際に「不規則抗体の検査も含まれますか?」と確認をされては如何でしょう?

最近ある掲示板でRh-の方同士での相談を見て心配になることがありました。不適合への対策をしない担当医の態度を心配されている方へ経験者からのアドバイスだったのですが、「産後に打つ注射はどんな産院でもできるから大丈夫(これは間違いではない)。私も大丈夫だったし、何も心配いりませんよ。」というものでした。確かにRh(D)-の方のほとんどは大丈夫でしょう。でも・・・少数ですが妊娠中に感作されてしまう人がいるのです。接種を受けていても感作される人もいます。その方たちはその妊娠も、これから先の妊娠も生児が抱ける可能性が薄くなるのです。近所の産院でも産後の注射は打てるでしょう。でも・・・万一のことを考えて、Rh-の妊婦さんには不適合を得意とする医師にかかって欲しいと思います。そして、出来ることならRh-の妊娠前の女性にはきちんとした不適合の知識を持ってもらいたいと思います。(本当は全女性にですが・・・私の例もありますので)

*産後に打つ注射について・・・72時間以内ではなく48時間としている病院もあるようです。基本的には早い方が良いと思われます。妊娠中にも打つ病院もあり、これは不適合になるリスクを下げる目的で使われます。効果を疑問視する声もあり、担当医の考え方と患者の希望によって行われているようです。
posted by おさかな at 00:00| Comment(0) | 血液型不適合妊娠 | 更新情報をチェックする
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