2005年01月07日

肺血栓塞栓症予防

*サイトデータの一部をブログに移行したもので、実際は過去の記事になります*

1.予防の目的・方法
長い間下肢を動かさないでいると、足の太い静脈(深部静脈)に血のかたまり(深部静脈血栓)ができ、この血のかたまりが血液の流れに乗って心臓から肺に至り、肺の血管に詰まることがあります。(肺血栓塞栓症)このような状態になると、呼吸困難、胸痛、時には心肺停止を引き起こします。日本では非常にまれで欧米の約1/10頻度といわれていましたが、近年増加の傾向にあります。肺血栓塞栓症の原因は多くの場合深部静脈血栓ですが、この発生は長期臥床(寝たきりで体が動かせない)、手術後、肥満の人に起こりやすいとされています。飛行機搭乗後に発生するエコノミークラス症候群は、肺血栓塞栓症の俗名です。

下肢の深部静脈血栓症は無症状な場合が多く、診断が容易ではない病気です。また、手術後の肺血栓塞栓症は、術後1~2週間までに立つ時や、歩き始めた日に突然胸の痛みや呼吸困難で発見される場合が多く、他にも同じような症状の病気があるため診断が非常に難しい病気です。肺血栓塞栓症の治療としては、軽度の場合は血を固まりにくくする薬の投与で改善します。しかし、重症な場合は生命に関わるため、詰まった血を溶かす必要がありますが、手術後の場合手術したところが出血する危険性があります。最悪の場合は胸を開けて血のかたまりを取り出す手術が必要です。このように肺血栓塞栓症は予測や診断が難しく、生命に危険のある病気です。この病気の発生しやすい要因としては以下の項目があります。

・40歳以上
・下肢静脈血栓症の病歴、肥満、妊娠、経口避妊薬の常用
・基礎疾患、多血症、悪性腫瘍、脳血管障害、心疾患
・手術に関して
手術部位(骨盤内、下腹部、下肢、胸部手術)
手術時間(1時間以上)
手術後長期安静、止血剤、脱水

この予防は、臥床においても手足の曲げ伸ばしを行い、手術では術後早期から歩くなど離床を心がけることが肝心ですが、弾性ストッキングの着用や、間歇的空気圧迫装置という機械を用いて間歇的に圧迫して血流を促進させる方法や、抗凝固薬剤を使って予防する方法などもあります。

これらの方法で深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症の危険度を減らすことができますが、完全に予防することはできないことをご承知おき下さい。

当院では、手術を受けられる患者様に、深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症を予防するために『弾性ストッキング』の着用をお勧めしています。ただし、手術部位や点滴部位によっては使用ができない場合があります。また、患者様に合ったサイズを選択する必要があります。

2.医療行為に伴う、合併症や偶発症について
弾性ストッキング
まれではありますが不適切な装着により血行障害による末梢神経障害が発生することがあります。

間歇的空気圧迫装置
まれに末梢神経障害や皮膚潰瘍が発生する場合があります。

抗凝固薬剤
手術創からの出血や、硬膜外麻酔の場合には硬膜下血腫の発生のおそれがあります。薬剤としてのアレルギー反応や肝機能障害の発生が時としてあります。

3.この医療行為に代わる選択肢とその利益と危険性

他の選択肢 なし

この医療行為を行わなかった場合

深部静脈血栓症の頻度は一般手術後で25%、脳血管障害による臥床の50%、整形外科手術後の50%、婦人科手術後の17%に発生があったとの報告があります。(脈官学、8,211,1997)手術後に肺血栓塞栓症と診断された頻度は、平成14年度は◯◯大学病院で3000例に2例程度でしたが、無症候性のものを含めるともっと多く発生しているものと推察されます。
posted by おさかな at 00:00| Comment(0) | 2004年左臼蓋形成術 | 更新情報をチェックする
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